今回は便所記事。
お食事中の方、特にカレーを召していらっしゃる方は、どうぞ想像を膨らませてお読みください。
前回の記事はこちら
※続きと言っても、記事下部の ◆ 以降の雑記の続きです。
意気高らかに、大便器の個室にお入りになったチーフ。
通常、大便器に入ればズボンを下す。
そのズボンを下すには、ベルトを外す必要がある。
通常会社員であれば、ベルトを装着している。
ジャージみたいな伸縮自在のゴム製のズボンで仕事してるわけないしね。
ましてや放送局のチーフという肩書の人が。
本当に無音なのだ。
最初に「カシャッ」とする施錠音だけで、あとは無音状態。
ベルトを外す際、ガチャガチャとする金属音がするし、革製のベルトであれば布と布とが擦れ合う摩擦音がするはずだ。
その音が一切しない。
不気味すぎる。
中で何をしているのか。いや、中で何が起きているのか。
気になりすぎて、俺の小便の勢いも心持ち不安定だ。
その状況下において、音が全くないというのは本当に不気味である。
例えば会社で「資料をまとめてくる」と言って、同僚が一人で部屋に入るとする。
これは、無音である事が当たり前である。
これとは別に「○○について話し合いをしてくる」と言って、同僚たちが大勢で部屋に入っていった場合はどうか。
話し合いの声がひっきりなしに続くのが、容易に想像できる。
ところが、この状態で無音(無言)であるとどう感じるのか。
隣の部屋にいると仮定してみる。
もちろん、静かであることに越したことはない。
ただ、余りにも話し合いの場が「静か」だと、逆に気になる。
何をしているのか、と。
もしかして、隣の部屋にいる俺に聞こえないように悪口を言ってるんじゃないか。俺を左遷させることの話し合いの場じゃないのか。
余りにも静かであると、悪いように悪いように想像が膨らんでしまう。
それとは別に、他に想像もつかないようなことをしているかもしれない。
男女混合だとすると、ムフフ♡なことが起きてるかもしれない。
そんなことを考えるだけで、気になって何も手が付けられない。
『無音』の恐怖。
相当な圧を与えることが出来る。
その恐怖が、小便をしている俺の後ろの個室で行われていたんだ。
チーフ、あなたは今、何をしているのか。
気が付けば、いつの間にやら小便も終わっていた。
いや、出し切れたのか、それとも恐怖で止まってしまったのかは覚えていない。
その場をそそくさと後にし、手洗い場に向かう。
そして、手を洗おうと蛇口に手を伸ばすか伸ばさないかのところで「カシャッ」と開錠される音がした。
俺は、特異な空間の中にいる。
しかも、チーフと二人。
静かな静かな便所内で響き渡る解錠音。
ヤツが来る。こっちに来る。
…
…
…
…
「おー、やっとるかね」
何事もなかったかのように俺に話かけてくる。
ま、ある意味本当に何もなかったんだけどな。
あの個室で。
俺は、おそらく適当に返事をしたはずだ。
チーフも隣で手を洗い始めた。
何もしてないのに手を洗うんだなとか、いや、でも便所に入ったから洗うのは当然だよな。
そんなどうでもいいようなことを考えながら、俺も手を洗っていたに違いない。
一緒に便所から退場するのはちょっと気まずいので、俺は鏡で身なりを整えるふりをし、遅れて便所から出た。
そして、後から思ったんだ。
チーフは個室便所で何をしてたのかと。
その時期は冬。特にその日は寒い日だった。
俺の想像する範囲だけれども、おそらくチーフは『暖』をとっていたのだろう。
そう考えるのが自然じゃないだろうか。
そうだ、そうに違いない。
別に何ら悪いことをしているわけじゃない。
そりゃ、一番の目的は💩をすることだろう。
暖を取りに普段、集中的に温める事のないケツから太ももの裏にその温もりを求める。
だからと言って、そのために個室大便器室に入ることは、何ら悪いことではない。
しかもガラガラの便所であれば、なおさら。
そして休憩室に戻り、アルバイト仲間にもその顛末を話した。
すると、その中の一人が妙なことを言い出した。
ダンさんらしいな。名前負けしてねぇよw
初めは何を言ってるのか意味が分からなかった。
だけど、話を聞いてるうちにその意味が分かった。
俺は、そのチーフのことをずっと「チーフ」と呼んでいた。周りのほとんども「チーフ」と言っていた。
実はそのチーフのお名前が…
檀
≪完≫
◆
昨日(2/1)の夜に岡山にも雪が舞い降りた。
寒いはずだわ…🥶