前記事の続きとは言わないが、今回もウチに来るタイミーのお話。

タイミーは「スキマ時間バイト」と謳っている。
だが実際は、“スキマ”どころか人生フルボリュームだったりする。
ウチに来て働いてくれる時間は、おおよそ4時間~6時間ほど。
最初は少々緊張からかぎこちないが、30分もすれば大体の作業はこなしてくれるようになる。
(募集のタイトルに「誰でもできる~」と記載してるので、まぁホントに誰でもできる)
そして、ライン作業のため次工程の作業者と自然と連携が取れるようになる。
休憩も同じ場所、昼飯も同じ場所。
数時間同じ空間にいるだけで、多少なりと仲間意識が芽生える。
名前もうろ覚え、年齢なんて知らない。
そんな、刹那な関係がまた良かったり。

そして、業務が終わった帰り。
「おつかれさま~」だけだと、ちょっと淡白すぎる。
俺は決まったセリフかの様に聞くことがある。
本職は何ですか?
聞けば、ホントに十人十色。
色んな人たちがいることを思い知らされる。
元社長にシングルマザー、それに求職者や旅人まで。
もちろん普通の仕事をしてて、その隙間時間に働いている人もいる。
色んな肩書があるから、普通の仕事ってなんだ?と思う。
いや、肩書が強烈過ぎて、頭がバグっているのだろう。
例えば…
(元社長の)タクシードライバー
こう言い換えると、普通の仕事と言える。
ちなみにこの元社長、以前は中小企業の経営者で、事業が失敗し今に至るらしい。
家族構成なんか聞きたかったが、ここはグッとこらえた。
ひょろりとした体型で、少し甲高く細い声をしていた。

「経営より、こっちの方が断然、気楽ですよ」
細い声から発するこのセリフ。軽いようで、全然軽くない。
でもその人、ウチの作業動線を素晴らしいと褒めてくれた。
肩書は消えても、心持ちは消えないらしい。
別の日、小柄な女性のワーカーさんが来てくれた。
女性特有の高い声で「はい!」と気持ちよく返事をしてくれる。
その声が、無機質な作業場に響き渡る。

「保育園の延長料金、高いんですよね…」
どうやら、訳あってシングルマザーのようだ。
その言葉の重みをどう受け取っていいのか分からず、返答に困惑したのを覚えている。
ウチでの作業は相対的に女性の方がテキパキと業務をこなしてくれる。
いつもの家事が身に染みているのだろう。
とにかく、手際がいい。
そのせいか、両隣のウチの作業者がゼェゼェ言っている。
商品の段取り、製品化、それに次工程の作業者に受け渡す作業も全てが最短距離。
今日も愛する子供のために、この隙間時間と自身の身を削って働いているんだろう。

タイミーの現場は駅のホームかもしれない。
みんなどこかへ向かう途中であって、ここが目的地じゃないことは確かだ。
名前も背景もバラバラ。でもその日だけは“同僚”
元社長も、ママさんも今日だけは、同じエプロンを付けてる。
人間の肩書きって、思ったより薄い。
でも、生き方は分厚い。
そして、業務終了の時刻が来た。
貸し出したエプロンを所定の位置に戻す。
そのエプロンは次回、また違う事情を抱えたワーカーさんが付けるのだろう。
次のワーカーさんも色んな意味で楽しみだ。
◆
色んな人間模様を見るなら「ドキュメント72時間」という番組を推奨する。
以前は、土曜日の昼間の休憩時間によく見ていた。(再放送)
「見ていた」というのは残念ながら今は、曜日が変更され見ることは出来ない。
他人の人生を垣間見ると、何故か心地いいような心地悪いようなモゾモゾした気持ちになる。
これがクセなるから不思議。
一度、ご視聴くだされ。人生の価値観が変わるかもね?!