人間の集中力というものは、実に不思議だ。
先日、同僚と情報収集について与太話をしていた。

同僚は車が好きだ。
新型車の性能、エンジン、足回り、燃費、走行性能。こういった情報を見ているらしい。
ある時、純粋に車の情報を得ようとYouTubeを開いた。
ところが、サムネイルには実に美しい色っぽいお姉さんが写っていた。
なるほど。
これはクリックせざるを得ない。
いや、誤解しないで欲しい。
同僚は車の動画を見たいのである。
たまたまサムネイルにお姉さんが写っていただけだ。本当にたまたまである。
さて、動画が始まった。
オチは想像できる通り、お姉さんばかりを目で追っていた。

恥ずかしながら、俺もそうだ。
ただ俺の場合は、例えば『牛肉』について情報を得ようとしていたのだが、結局サムネで他の動画に釣られるタイプ。
熱心に画面を見つめ続ける。ただし、本来の目的は全く異なっている。
本来、牛肉の情報を得たかったはずなんだ。
だが、目的とやっていることが全然かみ合わない。
俺も同僚もそうだが、お姉さんが登場すると、集中力は驚異的に向上する。
本来の内容なんて、ほとんど記憶にない。
だけど、お姉さんの衣装がどこまで切れ込んでいたかは、かなり正確に覚えている。

もはや時間の無駄である。
動画が終了して初めて、自分の愚かさが押し寄せる波のごとく襲ってくる。
さらに恐ろしいのは、おすすめ機能だ。
翌日、画面を開くと、俺がクリックしそうな動画がずらりと並べられている。
なるほど。
俺の好みを完全に理解しているらしい。
自分ですら認めたくない事実を、アルゴリズムは容赦なく突きつけてくる。
動画の制作者にあっぱれをくれてやりたい。
振り返ってみると、情報を集めるためにYouTubeを開いたはずだ。
ところが、知識は何一つ増えていない。
その一方で、SNSは俺の趣味嗜好を恐ろしいほど正確に把握している。
どうやら、情報収集に成功したのは俺ではなく、プラットフォーマーの方だったらしい。
ミイラ取りがミイラになるとは、まさにこのこと。
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